設楽ダムの現在の建設予定地とほとんど同一の地点に、1960年代初めに電源開発(株)が発電用ダム建設のための調査に入ったことはご存知でしょうか?その際の調査報告(一次報告)を見ると、電源開発がそれ以上の詳細調査(二次調査)に入らずに撤退した理由を理解できそうです。
一次調査の内容は、河床部に6本のボーリング、ダムサイト左右両岸にそれぞれ8本の横坑をうがち、岩盤・地盤の状態を調べています。加えて、地表の調査もなされています。ボーリングや横坑の調査結果も示されていますが、煩雑になるので、ここでは、これらの調査をまとめた地質図2枚を(地質平面、および地質断面)掲載しておきます。
ダムサイト部分では寒狭川は東西方向に流れています。地質平面図をみると、川を横切る形で断層FⅠが、左岸側を上下流に縦断する方向に断層FⅡが走っていることが分かります。等高線を読みながら、同一の断層の同じ標高の二点を結べば、その断層の走行が分かります。地質断面図と合わせてみると、断層の傾斜や連続性が読み取れます。